おいでよ、嘘つきさん。
櫛や洋服にお金、お菓子やお気に入りの本。
メリッサは色々と鞄に入れます。持って行きたい物は山ほどあるのですが重すぎて鞄が持てなくなるので我慢しました。

「良い町が見付かれば、そこで買えばいいわね」
メリッサは考え、時計を見ると14時を示していました。

「コマデリにお菓子を作ってあげなきゃね」
メリッサは、足りない材料を買いに行く事にしました。
家を出たら、向かいの女性が話し掛けてきます。
『魔法使いさん、どちらへお出かけ?』

「ミルクと砂糖を買いに行くの」

『交番なら4丁目の角の緑のランプが光ってる所よ』

「交番には行かないよ、買い物だからね」

『あら、そうなのね。確かに、あそこの警察官は狂ってるから他の交番にした方が良いわ!』

「うん、ありがとう。じゃあね」

『気をつけてね、魔法使いさん!帰りを待ってるわ』

女性は嬉しそうに手を振っています。この町に交番は1つだけです。
メリッサは、ため息をつきなが、食料品店に向かいました。昨日、卵を買った店です。他にも店はあるのですが、そこの食品がメリッサは好きなのです。それに、店主の狂い方もマシだからです。


食料品店に着いたメリッサは、砂糖を片手に持ちミルクを店主に要求しました。
「新鮮なミルクを1瓶ちょうだい」

『メリッサ!メリッサ!新鮮なミルクなら三軒先、違った!四軒先の家にあるよ』

「いいの。私は、ここのミルクが好きなのよ」

『メリッサは変わってるな!でも、新鮮なミルクは無いよ!』

「あら?後ろに見えてる白い水は何?」

『ミルクだよ!』

「なら、それを1瓶ちょうだい。あと、この砂糖もね。はい、お金」

『まいどあり!』


店主はミルクを綺麗な瓶にいれ、笑顔でメリッサに渡します。悪い人では無いのですがメリッサは疲れてしまいます。


帰り道、また警察官が話し掛けてきました。
『メリッサ…。上司にも話したんだが18時は駄目だった』

「大変ね。お疲れ様」

『18時01分なら良いんだが、駄目か?』

「駄目よ、諦めて」

『16時でも良いのに…。何故、18時なんだろうな』

警察官は、ブツブツと不満を言いはじめたのでメリッサは無視をして家へと向かいました。


今回も、向かいの女性は笑顔で話し掛けてきました。
『魔法使いさん!警察官に変な事を言われなかった?』

「いつも通りだったよ」

『無視が1番よ!あら、警察官に何かもらったの?』

「砂糖とミルク。貰ったんじゃなくて買ってきたの」

『警察官ったら、狂ってるわ。魔法使いさんに物をあげるなんて!失礼ね』

「違うよ、お店で買ったの」

『魔法使いさん!警察官は無視しちゃいなさいよ!私からも言っておくわね』

「うん、ありがとう」


女性は笑っています。メリッサは諦めてしまいました。いくら話しても理解してもらえない事を知っているからです。女性の話しを無視し急いで家に入りました。
荷物をおいて、椅子に腰掛け大きなため息をつきました。
「本当に疲れるわ。こっちが狂っちゃうわよ」

メリッサは少し休む事にしました。
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