おいでよ、嘘つきさん。
メリッサは、食料品店で様々な種類のチョコレートを見ていました。
その中でも特に香り高いチョコレートを吟味していると店主が声をかけてきました。
『メリッサ!メリッサ!何見てる?』

「チョコレートよ。1番香り高いチョコレートを選んでいるの」

『1番香り高いチョコレートなんて無いよ!三軒先の家にある!』

「三軒先にチョコレートはないわ」

『あ!四軒先だった!』

「よし、これに決めた!はい、お金ね」

『まいどあり!』


店主は、チョコレートを新聞紙に包んでくれました。チョコレートの甘い香りにメリッサも嬉しくなります。


しばらく歩くと、いつもの警察官に声をかけられました。
『やはり、18時01分になるんだ』

「残念ね、他の時間は駄目よ」

『悔しいな。何故、18時なんだ?16時でも良い』

「仕方ないでしょ。無理なものは無理。さようなら」

『残念だ。時間とは難しい』


警察官も相変わらずの様子でメリッサに訴えてきますが、メリッサは軽く受け流します。


家の前では、向かいの女性が笑顔で話し掛けてきます。
『魔法使いさん!おかえりなさい!安心したわ』

「心配してくれて、ありがとう」

『ええ。だって7丁目まで行くんだもの、心配するわ』

「そうだね。もう行かないよ」

『安心!変な警察官にも気をつけるのよ、魔法使いさん』

「わかったよ」


メリッサは家に入りました。疲れる町への買い物も終わり一息つきました。時計を見ると16時15分。ゆっくり休みたいですが、今日はコマデリのために力を入れてお菓子を作ると決めています。
メリッサは、すぐに台所へ向かいました。

チョコレートを細かく砕き溶かします。小麦粉と卵とバター、それにミルクと砂糖。そこに溶かしたチョコレートを入れ混ぜます。生地をカップに入れ、残ったチョコレートで飾りオーブンで焼き上げます。
甘いチョコレートの香りがしてきて、メリッサは幸せな気分になります。
焼き上がるまでの時間、また箱を二つ用意しておきました。
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