おいでよ、嘘つきさん。
約束の時間より30分も早くコマデリが訪れました。
「早いね!コマデリも、やっとヤル気が出たんだ!」

『あれ?早かったかな。ごめん、ごめん!出直すね』

「違うわよ。ほら、中に入って!」

『ありがとう。お邪魔します』

「それにしとも、身軽だね。持っていく物ないの?」

『家にあるよ。でも、いっぱい持っていけないから、やめたんだ』

「コマデリらしいわね」

メリッサは、ため息を吐きました。ですが、すぐに変装の準備を始めます。
コマデリは大きな黒の帽子と黒縁メガネを持ってきていました。
メリッサの作った髭もつけてみます。意外なほどに、よく似合っています。

「完璧だわ!本当に大人みたい!でも、話しちゃ駄目だからね」

『髭があると、大人になったみたいだ。ちょっと、くすぐったい』

「我慢してね。あ、コマデリ大事な事をもう1つ!今からコマ叔父さんって名前よ」

『コマ叔父さん?名前まで変わって不思議な気分だな〜』

「コマ叔父さん、よろしく頼むわよ。パンケーキをあげるから」

『やった!うん、頑張るよ』

コマデリの偽名はコマ叔父さんです。メリッサはコマ叔父さんにパンケーキを与え、計画の確認をしました。コマ叔父さんもパンケーキを食べながら答えました。
メリッサは、もうすぐ町を出られることに胸がワクワクしています。
コマ叔父さんは、相変わらずの調子でヤル気が有るのか無いのか分かりません。

コマ叔父さんが30分も早く来てしまったので計画の時間も30分早め、門へは15時半に着く事にしました。
家を出る時、メリッサは緊張しながら言いました。
「コマ叔父さん、良い?絶対に声は出さないでよ。それと、堂々と大人みたいに歩くのよ」

コマ叔父さんは、緊張感の無い顔で頷きました。
< 108 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop