おいでよ、嘘つきさん。
悩みの尽きないサフィニアの、もう一つの悩みこそ、このトリトマの夢です。


トリトマは、夢についてサフィニアに熱く語ります。

その夢は、絶対に叶わない、いや、正確には、叶えてはいけない夢なのです。


トリトマは、ニヤつきながら話します。


「サフィニア、俺の夢。そろそろ実行に移したいんだ。だから、自信がないだなんて馬鹿みたいな事言ってられないぜ。」


「はぁ…。勘弁してくれよ。もう、その話しは無しだ。絶対に無理だし、絶対に駄目な事だって何回も言ってるだろ。」


「馬鹿。絶対に無理で絶対に駄目だろうが、やるんだよ。夢には、兄貴だって賛成してたじゃねぇか。」


「賛成じゃない。良い夢だなって言っただけだ。トリトマ、冷静に考えてみろよ?そんな恐ろしい夢…。あぁ、考えただけでも身震いがする…。」


「弱いなぁ〜。恐くなんかないさ。つうか、二人一緒じゃなきゃ、絶対に叶わないんだから協力しろよな。」


強いトリトマの言葉に、サフィニアは頭を抱えます。

力関係は、トリトマの方が断然、上。

トリトマは、気にせずに続けるのです。


「町を出る。この狂った町を出て、自由に生きるんだ!」


トリトマの夢は、町を出ること。


何故、町を出るだけの事がこんなに深刻で大変なのか…。


それは、双子町には決して知られてはいけない秘密があるからです。

町の外にもれてはいけない秘密。


重要で、そして暗く呪われた秘密です。
< 132 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop