おいでよ、嘘つきさん。

トリトマは、サフィニアにだけは正直に話していました。

サフィニアも、トリトマの考えに賛同しているからです。


しかし、サフィニアは自信がなく、尚且つ、とても恐がりです。


普通の人でも恐いでしょう。

こんな町から出るなんて、脱走するようなモノなのですから。


とてつもなく勇気のいる事です。


しかし、双子でなければ存在できない町。


つまり、サフィニアを残しトリトマだけが脱走するという事は、サフィニアの悲惨な運命が決まるということです。


そんな事は、トリトマは望んでいません。

絶対に、サフィニアを連れ町を出ると決意しているのです。


トリトマは、小さな頃から、この夢を密かに胸にしまってきました。


体が大きくなり、力がついた今、まさに最大のチャンスなのです。


だからこそ、サフィニアへの説得にも力が入ります。

そのためには、サフィニアの自信を高める必要があるとトリトマは考えていたのです。
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