おいでよ、嘘つきさん。
「それで脅してるつもりかよ?」
トリトマは、サフィニアを睨みつけ言います。
サフィニアも真剣な眼差しでトリトマを見つめます。
トリトマは、サフィニアに怒鳴りました。
「俺は恐くなんかねぇよ!この町にいる事自体が、死んでる事と変わらない!兄貴も死んでるようなもんだ!」
「大きな声を出すな。」
「うるさい!もう、限界だ!兄貴は、ビビってばっか!町の連中は犯罪者!俺だけが、まともなんだ!!」
「仕方ないだろ…」
「仕方ない!?ふざけんな!兄貴!いい加減、覚悟を決めろよ!女々しいにも、ほどがあるぞ!町を出る!いいな!?」
「無理だ…」
「俺がいる!だから、大丈夫だ!」
サフィニアは、黙ってしまいます。
トリトマは苛立ちが収まりません。
「なんだよ!?言いたい事も言えないのか!?」
トリトマはサフィニアの胸倉を掴みました。
サフィニアは、困った表情。
そんなサフィニアに、トリトマは情けなさを感じます。
すると、サフィニアは苦しそうな声で呟いたのです。
「俺は自信がないよ…。トリトマだけ町を出ればいい。」
トリトマは、一気に力が抜けてしまいます。
サフィニアを掴んでいた手の力を抜き、トリトマも力無く呟きます。
「できる訳ないだろ…。」
それだけ言うと、トリトマは家を出ていきました。
この話しをすると、いつも喧嘩になるのです。
サフィニアは自信の無さから、町を出る事を恐がり、その恐がるサフィニアをトリトマは情けなく思っていました。