おいでよ、嘘つきさん。
トリトマが悩んでいると、サフィニアが脅えながら話します。
「ねぇ、これって恐い話し?」
自分から聞いてきたくせに、恐がるサフィニアにトリトマは呆れます。
「恐いんなら話すなよ。俺まで嫌な感じだぜ。お兄ちゃんは、変なとこに気づきすぎなんだよ。」
サフィニアは、よく気づく子供でした。
「何で二つなの?」
「何で葬式をしないの?」
「何で一つは駄目なの?」
自分から、疑問をぶつけてくるくせに、最後は怖がってトリトマにしがみつくのです。
トリトマは、そんなサフィニアを馬鹿にしながらも感心していました。
そんなサフィニアのおかげで、トリトマも双子町に疑問を抱くようになります。
昨日まで遊んでいた双子の友達が、こつぜんと姿を消したり。
一人が怪我をしたら、もう一人も次の日には怪我をしたり…。
そんな光景を見る度に、トリトマは考えるようになりました。
「そんな偶然があるか?」
それに、町の人々の目は鋭く何かを監視しているような目なのです。
「全部…、必然だとしたら…?」
この考えをもった瞬間、体中が恐怖に支配されます。
町の歴史についても調べました。
驚くことに、この双子町について書かれている資料は全くありません。
「何かが、おかしい…。」
幼いトリトマは確信します。
その時に、「町を出るべきだ」と思いました。
町を出て、「普通」を知りたいと考えたのです。