おいでよ、嘘つきさん。
トリトマが、町を歩くと人々が嫌な目で見てくるようになりました。


何かを監視するような、疑いの目です。


トリトマは、極めて平然を装い過ごすことを心がけます。


トリトマは女性から人気が高いため、女性達はトリトマを心配します。


「トリトマ、変な噂があるけど気にしちゃ駄目よ。」


「トリトマ、私は貴方の味方だからね。」


「トリトマが居なくなるだなんて、絶対に嫌よ。私が守ってあげるわ。」


トリトマは、女性達の声に励まされます。

いくら強気で平然を装っていても、やはり恐く感じる時があるからです。


町の男性達はトリトマを睨み、口々に罵ってくるのです。

昨日まで友人だった男性も、次の日には敵。

そんな状況が続いています。

殺気だった雰囲気を、女性達は和ませ守ってくれます。


女性に囲まれているトリトマに、男性達も手は出せないからです。

しかし、それが更に反感をかっていました。


「トリトマは、絶対に黒だ。」


トリトマの噂は、真実であると口々に言い合います。


トリトマは思います。


「一日でも早く町を出ないと…。でも、目立つ行動はできない。サフィニアも、あの調子だしな…。」


もう、後戻りなんかできません。


トリトマと町の人々との間で、静かな戦いが続いていました。



しかし、終わりの見えない長い戦いになるかと思われた時、予想だにしない展開をみせるのです。
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