おいでよ、嘘つきさん。
死
家に帰ったトリトマが見たもの。
それは、床に倒れているサフィニアでした。
机の上には、空の薬のビンの山。
そして、近くには遺書が残されていました。
遺書は短いもので、『すまない、先にいく。夢を叶えてくれ。』たったこれだけです。
トリトマは、すぐに状況が判断できませんでした。
訳が分からず、頭は大混乱です。
「助けてくれ!!!」
トリトマが1番最初に出た言葉。
錯乱したトリトマは、家の外に出ると叫びました。
「サフィニアが!サフィニアが!!助けてくれ!!!」
顔を真っ赤にし、頭を抱えトリトマは騒ぎます。
息は上がり、声はかすれています。
この騒ぎに、町中の人々が集まります。
トリトマは、ガクガクと震え膝をつき、家の前で座っています。
「兄貴が!サフィニアが!!」
トリトマは人々に叫び、地面に突っ伏してしまいました。
人々は動揺しながら、トリトマを見ます。
トリトマは、声を震わせ言いました。
「兄貴が…、死んだ…」
この言葉に、人々は固まり、驚愕の表情をみせます。
トリトマは、ただ体を震えさせ、地面に額をつけているだけ。
息が上がり、上手く立ち上がれないトリトマを、人々はただ見つめることしかできません。