おいでよ、嘘つきさん。
そんなトリトマの様子に、町の女性達は深く同情し、尚且つ、哀れみの目で見つめます。

中には、泣いている女性もいます。


『1人になってしまった』


この事実を、女性達は恐れたのです。


トリトマも、その事実には気付いているのか、力を振り絞り叫びます。



「助けてくれ!!!」



しかし、助けようがないため女性達は下を向きトリトマと目を合わせません。



『この町では、一つは許されない』



嫌な空気がトリトマを包みます。

トリトマの表情は、みるみる青ざめ、目はキョトキョトと落ち着きがありません。


すると、町の男達がトリトマの側に寄ってこようとしました。


トリトマは、バッと立ち上がり怒鳴ります。



「近づくな!!」



トリトマの怒鳴り声。

町中に響き渡るほどの大声です。


「それ以上、近づくな!!」


トリトマは、男達を睨みつけ怒鳴ります。


男達が苛立った様子で答えました。


「トリトマ、何をピリピリしてるんだ?サフィニアを、病院に連れていかないといけないだろ。そこを、退け。」


トリトマは、家の扉の前に立ち動きません。


「いらねぇ!兄貴は死んだ。俺が確認した!お前らに、兄貴を渡すわけにいくか!!」


このトリトマの言葉に、男達の表情が変わります。


その顔は、疑い、怒り、蔑み、腹に持っている負の感情の全てを表しています。
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