おいでよ、嘘つきさん。
プラタナスは無事に家につきました。

「お父様、お母様!素晴らしい方々がおいで下さいました!どうか、一緒にお礼を!」

プラタナスの興奮した声に驚いた二人は急いで扉に向かいました。
目に飛び込んできたのは、5人の大人の男女と、とびっきりの笑顔のプラタナスです。

言葉に詰まった両親にプラタナスは興奮しながら言います。

「彼らは私の命の恩人!早く中へ入って頂かないと失礼ですわ!」

両親はプラタナスに圧倒され、急いで家の中に案内し母親は急いでお茶の用意をしました。

「いきなり押しかけて申し訳ございません」

劇団員の女性が母親に言いました。
それまで、不信感でいっぱいだった母親は「やっぱり女はわかっているわ、それに比べて男は…」等と思いながらも、すっかり気を許しました。
父親は相変わらず不信感丸出しで特に男達を睨みつけています。

そんな雰囲気を壊すかのように、プラタナスは興奮が冷めない様子で、事の成り行きを一気に話しました。

「私を笑い者にしようと意地悪をした」

「すかさず機転をきかして、私を物語の主人公に仕立てあげてくれた」

「あまりの出来事に涙が止まらなかった」

「町の人達は皆拍手喝采」

「最後まで私を守ってくれた」


夢のような話しで両親は呆気にとられました。
ですが、プラタナスは止まりません。
両親は相槌をうつのに精一杯。
プラタナスは、そんな両親に向かって

「とにかく、彼らは私の全てを守り叶えてくださったのよ!感謝はいくらしても足りないくらいに!!」

と二人に言い聞かせました。

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