おいでよ、嘘つきさん。
夕食時、アザミは聞きました。
「ねぇ、オリーブ。なぜ、新しい服を着ないの?」


オリーブは、ここに来た時の服装のままです。
アザミは続けて言いました。
「よそ行きの服じゃないんだから、着てみなさい。もし、汚れたら新しい服を買ってあげるわよ」

「でも、僕にとっては初めてのプレゼントだから、汚したくないです」

アザミは、心臓がズキッとしました。
純粋なオリーブに感銘を受け、自分が嫌な大人になったと恥じたからです。
「そうね。ごめんなさい、オリーブの服なんだから好きにしたら良いわね」

アザミは、昔の自分を思い出していました。
昔の自分も、オリーブのように純粋だったのに…、アザミは少し寂しくなりました。

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