おいでよ、嘘つきさん。

家族

柔らかそうなフワフワの髪を揺らし、楽しそうに笑う少女がいます。


「プルメリアって髪が綺麗だね」


この少女の名前はプルメリア。
茶色の瞳がキラキラと輝いています。


「プルメリアって、瞳が綺麗…」


プルメリアは、嬉しくて微笑みます。


「笑顔が素敵だね!」


プルメリアは大人気です。


町の大人達も、プルメリアを褒めたたえます。


「プルメリア、すごく可愛らしいわね」


「プルメリアは、とっても頭が良いな」


「プルメリアは、優しくて良い子だ」


プルメリアは自慢げに、町を歩きます。


「私って、大人気!!」


プルメリアは、素直に喜びます。

プルメリアを悪く言う人は誰一人いません。

大人気のプルメリア。

しかし、何故これほどまでに人気があるのでしょうか。


人々は口を揃えて囁きます。


「死にたくなければプルメリアを褒めろ」


プルメリアは、町の人々に恐れられていたのです。

死にたい人間なんて居ません。

だから、皆はプルメリアを褒めたたえるのです。

プルメリアを怒らせないために。

では、何故このようになったのか?

些細な事がきっかけ。


そのきっかけは5年ほど前、プルメリアの家族が事故死したことです。
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