おいでよ、嘘つきさん。
その様子に、周りの人間が驚きます。


酔っ払いは奇声を発し、頭を掻きむしり、目が血走っているのです。


顔を赤黒くし、酔っ払いはプルメリアに怒鳴ります。


「俺は死なない!!!俺は生きてるだろ!!プルメリアは嘘つきだーー!!!」

「嘘じゃないわ。だって、居るんだもん。貴方の後ろで笑ってるわよ。仕方ないじゃない、居るものは!」

「あーーー!!!黙れ、黙れ、黙れ!!居ない、俺の後ろには誰もいない!そうだろ!?」

「何度言えば良いのよ。貴方の後ろには、ちゃんと死神様がいるわよ。ほら、貴方を抱きしめ嬉しそうに笑ってるわ」

「やめろ!今すぐに謝れ!居ないと言え!!」

「何よ!嘘つきって言うくせに!嫌よ、嘘つき呼ばわりされたくないもん。貴方は死神様のお気に入りよ!」

「あぁーーーー!!!!」


酔っ払いは、自分の顔や体を叩きます。


「出ていけ!出ていけ!出ていけ!!!!」


完全に我を忘れた酔っ払い。

町中の人々は目を背けたくなりました。


と、次の瞬間…。


「あっ……!!」


酔っ払いは悲鳴のような声を短くあげ、バタリと地面に倒れたのです。


一瞬にして静まり返る町中。


プルメリアは、倒れた酔っ払いを見て呟きました。


「…。私の目は正常なのね…」


プルメリアは、倒れた酔っ払いに近づきため息をつきます。

そして、静まり返っている人々に叫びます。


「早く、お医者様を呼んで!」


その声に、時間がとまっていた人々が反応します。

バタバタと家に逃げ込むのです。

プルメリアは呆れます。


「何よ、本当に厭らしい人達ね」


プルメリアは自ら、医者を呼びに走りました。
< 81 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop