おいでよ、嘘つきさん。
そんなプルメリアの気持ちを揺るがす出来事が起こります。


それは、アスターとの些細な会話が発端です。


体調が少し良かったアスターは、プルメリアとの会話に花をさかせていました。

アスターの大好きな死神の話しをしていると、急にアスターは真剣な顔でプルメリアに言いました。


「なぁ、プルメリア。里子に行くって本当?」


プルメリアは驚きます。

アスターには一言も言ってなかったからです。

プルメリアは、気持ちを落ち着かせ答えます。


「何の話し?私は知らないわ」


「嘘だ。パパが言ってたよ。プルメリアが里子に行くって」


「知らないわよ。もう、いいでしょ。違う事を話そうよ」


「プルメリアは嘘つきだね。俺を騙してばっかりだ」


プルメリアの心臓が飛び上がります。
アスターの言葉に深い意味があるからです。

できる限りの平常心を保ちつつプルメリアは話します。


「アスターまで、私を嘘つき呼ばわりするの?」


「したくないよ。だから、本当の事を言ってよ。隠し事は無しだよ」


プルメリアは悩みます。

きっと、アスターを悲しませてしまうと思ったからです。

しかし、嘘つきだと思われるのも嫌。

プルメリアは、意を決して話すことにします。


「わかった。本当の事を話すわね。里子の話しは本当よ。でも、私は行かないわ」


プルメリアはアスターの反応が心配で目を逸らしながら話しました。

しかし、アスターはきっぱりと言うのです。


「何で行かないの?ウチに居るより、ずっと良いよ」


プルメリアは耳を疑いました。

まさか、アスターまで里子を奨めてくるとは思わなかったからです。

プルメリアは驚いた表情でアスターを見ると、アスターは真剣な表情で更に言うのです。


「おめでとう。絶対に幸せになれるよ。ウチにいるより、ずっと良い。気をつけて行ってこいよ」


プルメリアには、冷たく鋭い言葉でした。

深く傷つき、目元が熱くなってきます。

唇を噛み締め、悲しみに耐えながらアスターを見つめました。

アスターも、真剣な表情でプルメリアを見つめています。


二人は、しばしの間見つめ合い沈黙の時間を過ごします。
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