おいでよ、嘘つきさん。
数日後、プルメリアは綺麗な洋服を着てアスターの部屋にいました。


アスターの体調は良くない様子。


会話は難しい状態です。


しかし、プルメリアは気にせず話し掛けます。


「アスター、聞こえてるかな?私ね、今日里親さんが迎えにくるの。だから、アスターにお別れを言いにきたんだよ」


アスターは無言です。


プルメリアは続けます。


「たぶん、すぐには帰ってこられないと思うの。だから、今日ちゃんとお別れを言うね」


アスターに少し反応がありました。


プルメリアの頬は涙で濡れています。


ゆっくりと、アスターに近づき手を握りました。


「アスター、私の可愛い弟。生死に関係なく、アスターを愛する事を誓うわ。ずっと、ずっとよ。」


アスターの手に力が入ります。

プルメリアも力を入れ握り返します。


「大丈夫よ。アスターは、いい子だから恐がらなくて大丈夫」


アスターの目から一粒の雫が流れます。

プルメリアは、その雫を拭ってやり言いました。


「最後のお別れだけど、心はずっとアスターの側にいるからね」


プルメリアとアスターの最後の別れ。


プルメリアは、にっこり微笑みアスターの頭をなでました。


「じゃあ、行ってくるわね」


アスターは、潤んだ瞳だけでプルメリアを見送りました。
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