狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】
「ご、ご、ご、ごめんなさい!!本当に悪気があったわけじゃ……――」
「お前……――」
頭を下げているから狼谷君がどんな顔をしているのかは分からない。
だけど、狼谷君の低くてかすれた声に思わず声が震えた。
「本当に……ちょっとした出来心だったの。まさか狼谷君がここで寝てるなんて知らなくて……」
授業をサボって寝ているのが愁太だと思い込んでいたから。
保健室で寝ているのは愁太だけじゃないって、よくよく考えればわかるはず。
だけど、授業をサボって愁太が寝ているベッドはいつも決まってここだった。
先入観があったとはいえ、人違いをしてしまうなんて。
もし、狼谷君がここで寝ていると知っていたら保健室にすら入らなかったんだけどな……。
「本当にごめんなさい!!」
あたしは精一杯の気持ちを込めて再び謝った。