狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】
「よくここまで下手くそな絵がかけたな。こんな下手くそな絵かく奴初めて見た」
「そ、そんなに下手……?」
「下手。最高に下手」
今、自分の目の前で笑っている男の子は本当にあの狼谷君なの?
校内1の不良だし、このあたりでは名の通っている彼。
今まで一度だって彼の笑顔を見たことはないし、無口な彼の声を聴いたのだって正直、今日が初めて。
あれれ?何だろう、この気持ち。
あたし……どうしちゃったんだろう。
あんなに恐れていた狼谷君があたしの描いた絵を見て笑っている。
ただそれだけのことなのに、どうしてこんなに胸が熱くなるんだろう。