狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】
「ど、ど、ど、どうして!?どうしてこんなところに狼谷君が!?」
「知らないわよ!!ていうか、さっきの会話聞かれちゃったんじゃないの!?」
あたしの席は廊下側の一番前の席。
あたし達と狼谷君との距離は2メートルもない。
むしろ1メートルくらい?
狼谷君がいつからそこにいたのかは分からない。
だけど、さっきの会話を聞かれた可能性は高い。
あたしさっき、『不良は苦手』って言った……?
『狼谷君は校内一の不良だよ!?悪いオーラビンビンに出してるし、誰かれ構わずに喧嘩を吹っかけるって有名だし……」
狼谷君に聞かれていたとしたら、あたしはきっと生きてこの教室から出られないはず。
「ど、ど、どうしよう……。知らんぷりしたほうがいいかな?」
「そういうわけにもいかないでしょ」
「じゃあ、どうすればいい?どうしよう……沙希、助けて……」
狼谷君に聞こえないように小声で沙希に相談していると、
「……――おい」
低くてかすれた声が頭上から降ってきた。