狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】
すると、ずっとあたしの横で黙って話を聞いていた愁太が声をあげた。
「なぁ、手に落書きされたくらいで教室まで文句言いに来たのか?」
「……――は?」
「もし桃華に手をあげたら、絶対に許さない」
愁太の言葉に周りから悲鳴にも似た歓声が上がる。
愁太がモテるのはきっと宿命みたいなもの。
誰に対しても人当りがよくて優しくて。
いつも笑顔でみんなの中心にいる。
背の高い愁太よりさらに背の高い狼谷君。
無言で睨みあいを続ける二人。
沈黙を破ったのは狼谷君だった。
「これ、お前のだろ?」
狼谷君は愁太を無視して、ポケットから取り出した何かをあたしの机の上にポンッと投げた。