狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】
「だから、落ち着けって言ってんだろ!!瑞穂!!!」
みず……ほ?
シーンっと水を打ったように静まり返る。
今……、星哉……あたしのこと瑞穂って……言ったよね?
「あー、くそっ……」
困ったように髪をクシャッと手でいじる星哉の姿に目頭が熱くなり涙がポロポロと流れる。
「……ごめんな、桃華?」
謝る星哉の声は本当に申し訳なさそうで。
分かってる。ちゃんと分かってるよ。
誰にだって言い間違いはある。
頭ではちゃんと分かってるの。
星哉も、興奮しているあたしをなだめるのに必死だったんだと思う。
でもね、どうしてだろう……。
苦しくて、切なくて、悲しくて……どうしようもなく胸が痛むんだ。