狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】
「……――瑞穂、お前はもう帰れ。俺はお前と話すことなんてない。桃華、いくぞ」
星哉はそう言うと、あたしの手をそっと掴んで歩き出す。
温かくて大きな星哉の手のひらに包まれると罪悪感が体中に広がる。
あたし……
本当に最低最悪だ。
だって、この状況になっても星哉があたしのことを選んでくれたって、ホッとしているんだから……。
「……――待って、星哉!!」
背後で星哉の名前を呼ぶ瑞穂ちゃんの声がどんどん小さくなっていく。
その間、星哉が振り返ることは一度もなくて。
そして、家に着くまでの間、星哉はずっと黙っていた。
「……――もう泣くな」
最後、家の前でそう言うと星哉はあたしの頭をポンッと一度叩くとそのまま背中を向けて歩き出した。