狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】
その場にピタリと立ち止った狼谷君はわずかに顔をこちらに向けた。
「あの……、学生証本当にありがとう!!それと……あたし、勘違いしてて……本当にごめんね?」
「別に」
興味なさげにそう言うと、狼谷君は一度も振り返ることなく教室を後にした。
教室から出た狼谷君を避けるようにやじ馬たちがサーッと散る。
あたしはぼんやりと狼谷君が返してくれた学生証を握りしめた。
「……――はぁぁぁぁ、ビックリした!!殴られなくてよかったねぇ。寿命が10年くらい縮まった感じ」
「沙希、それは大げさだよ」
狼谷君がいなくなった教室が再びザワザワとにぎやかになる。