狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】

「あの狼谷君にあんな言い方してさ。殴られなかったからよかったものの」


「殴られるのは最初から覚悟してた」


「まったく、愁太って桃華のことになると見境ないよね～？」


「別にそんなんじゃねぇよ。俺はただあいつとの約束が……――」


愁太はそこで言葉を切ると、ほんの少しだけ頬を赤らめてこう言った。



「もし、沙希が同じ状況だとしても俺、ちゃんと沙希のこと助けるし」


「それ、本当に？」


「当たり前だろ!!」


「……――ふふ。なんか嬉しいかも」


お互いに照れくさそうな沙希と愁太をよそに、あたしの頭の中は狼谷君のことでいっぱいだった。