狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】
狼谷君が落書きの一件をいまだに根に持って教室にやってきたと思っていたからこそ、何度も謝った。
だけど、狼谷君はあたしが落とした学生証を届けに来てくれただけで。
あたしと狼谷君の会話を聞いていた生徒たちはみんなあたし同様に誤解したに違いない。
狼谷君は何も悪いことをしていないのに、悪いことをしているような目で見られていた。
あたしが何度も謝ったから……
周りから見たら狼谷君が悪者に見えたはず。
そんなんじゃないのに。
狼谷君は何も悪くないのに。
「謝らなくちゃ……」
狼谷君にちゃんと謝らなくちゃダメだ。
このままになんてしておけない。
あたしは狼谷君が拾ってくれた学生証をギュッと握りしめると、教室から飛び出した。