狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】

「あの日に狼谷君が保健室で熊井さんに言ってたことを全部稲葉に報告したんだ。そしたら、すごい怒ってて……」


「それで?」


「稲葉は狼谷君に熊井さんと別れて精神的なダメージを負わせたつもりだったみたい。だから、『俺が直接あいつをやる』って。だから、昨日の夜……俺は狼谷君を……――」


彼はそこまで言うと、悔しそうに唇を噛んだ。


昨日の夜……、彼は星哉の携帯に電話をかけた。


あたしが稲葉君に連れて行かれたと。


その場所は、市内のはずれにある人気のない倉庫。


星哉は『分かった』とだけ言ってすぐに電話を切った。


その後、『よくやった。ご苦労』というメールが稲葉君から届き、彼は確信を持った。


星哉が稲葉君の思惑通り倉庫に現れたと。
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