狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】
「わっ!!」
特に障害になるようなものは何もないところで盛大に転んだあたしは見事に膝を擦りむいた。
「いったぁ……」
手のひらと膝からじんわりと染み出す赤い血。
それが少しづつ涙で歪む。
斉藤君を追いかけているときも転んだのに……。
あたしはどうしていつもこう鈍くさいんだろう。
星哉のところへ一刻も早くいかなくちゃいけないのに、どうしてこんなところで転んで涙を流しているんだろう。
「星哉……っ……待っててね……。今、助けに行くからね……」
こうやってメソメソと泣いている時間すら今は惜しい。
自分自身に気合を入れ直してグッと顔を持ち上げた時、目の前に大きな手のひらが差し出された。