狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】

「あっ、つーかさ、稲葉のこと大丈夫だった?」


ナオくんはふと思いついたようにそう口にする。


「あぁ。お前らのおかげで助かった」


そう答えた星哉。


あたしは会話に割り込むように問いかけた。


「稲葉君のこと、ナオくんも知ってるの?」


「知ってるよ~。あいつが何しようとしてたのかもぜーんぶ知ってる」


「全部?」


「そうそう。稲葉ってバカだから駅前にいた俺らに『狼谷星哉』をボコったら1万やるって触れ回っててさ~。だから、俺ら、協力する振りしてあいつが何をしようとしてるのか星哉に伝えてたんだよ。あいつ頭いいくせに、俺が星哉とダチだって調べてねぇーの。星哉を痛い目にあわせたくて必死だったんだろうな~。ご苦労なこった」


ケラケラ楽しそうに笑うナオくん。


「だから、逆に稲葉をハメてやったってわけ。倉庫で俺らがダチだって知って囲まれた途端、声出して泣いてやんの。バカみたいだろ?」


な、なんだか楽しそうに話しているけどやっていることはちょっぴり怖い。
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