狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】
「あいつ、金を出せば何でも手にはいるって思ってる典型的なバカなんだよ。だけど、それが仇になって今頃おまわりさんのお世話になってるみたい」
「稲葉君が?」
「そうそう。あいつ、金持ちなくせに、無理矢理金をかしてありえない金利を吹っかけてたから。金貸しを高校生が……しかも、進学校のおぼっちゃんがしたらダメでしょ~。あいつの父ちゃんも怒ってるだろうしいい気味。今回のことで反省して、二度と星哉には手出ししないよ」
そう言うと、ナオくんはニッと笑った。
「まぁそういうことで、もうなーんの障害もないんだし、思う存分イチャついてください」
「お前、バカか」
星哉は呆れながらそう言うと、ナオくんの頭を思いっきり叩いてあたしの手を引っ張った。
「いてぇーよ、星哉!!」
ナオくんが唇をとがらせる。
「いくぞ、桃華」
「……――うん!」
だけど、星哉はナオくんのことなんて完璧に無視して歩き出す。
あたしは瑞穂ちゃんとナオくんに別れを告げて星哉につられて歩き出した。