狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】
「ごめんなさい。あたし、好きな人がいるから」
「あっ、そうなんだ……。もしかして、愁太?」
眉を下げてガッカリしたようにポリポリと頭をかく斉藤君。
っていうか、今、愁太って……――。
「やっぱり熊井さんって愁太と付き合ってるんだ?前から仲良いんだなぁとは思ってたけど……ショックだな……」
「愁太とは幼馴染だし付き合ってないよ?一緒にいることも多いし、誤解してる人も多いけどね」
「そうなの?てっきり、好きな人って愁太のことかと思ってたよ。じゃあ、熊井さんの好きな人って誰?」
「あたしの……好きな人……」
そう聞かれてすぐにパッと頭に浮かんだのは、狼谷君の顔だった。
どこが好きなのかも、どうして好きになったのかもよく分からない。
だけど、あたしは狼谷君のすべてに惹かれている。
あたしの大好きな人は間違いなく狼谷君だった。