狼系不良彼氏とドキドキ恋愛【完】
「とりあえずあたしは、職員室に行って余ってるジャージがないか先生に聞いてみる。桃華は誰か借りれる人がいないか他の教室回って聞いてきて」
「沙希ぃぃ……、ありがとう!!」
精一杯の感謝の気持ちを込めてお礼を言うと、沙希のあとに続いて教室を飛び出した。
そうじゃなくても運動神経が悪くて体育の成績は散々なのに、球技大会まで出ないとなると……――想像するだけでも恐ろしい。
廊下から隣のクラスを覗き込んでも、教室には誰もおらずシーンっと静まり返っている。
ジャージを忘れたことに気が付くのすら遅いなんて、あたし本当にバカだ。
バカでドジでおっちゃこちょいで物忘れがひどくて……――
って、あたしいいところひとつもない!?
心の中で大きなため息を吐いた時、ふと前から歩いてくる背の高い男の子に気が付いた。