嘘つきな恋の始まり



〝ありがとうございます〟




そう言って財布に手を伸ばすと




ヒョイっと財布を上に上げられた。



「あ、あの?」



返してくれないの??



「水色ちゃんさぁ昨日ここ通ったんだよね?」




「…はい」





「何時頃?」





「9時半頃ですけど」





「ってことは見た?」





「何をですか??」





私の問いに佐伯くんは可愛い笑顔を浮かべるだけで答えてはくれない




「まぁいいやっ!はいっお財布」




「ありがとうございます」





今度こそしっかりと財布を受け取ると




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