愛 -ｴｲｴﾝ-

「(ﾊｧ〜。ﾒﾝﾄﾞｸｻｲ。瑛奈と一緒に帰りたかったなぁ。)」

瑛奈との約束を断った海斗は、教室で一人席に座り、誰かを待っていた。

“ｶﾞﾗｯ”

「…海斗ｸﾝ待っててもらってごめんね？」

「あ〜…いいよ。それで話しって？」

教室のﾄﾞｱが開き、入ってきたのは由奈だった。

「私…海斗ｸﾝの事が…」

「…ん？」

恥ずかしそうに俯きながら、言葉を詰まらせている由奈に海斗は不思議そうな表情を見せた。

「…好き。」

「…ごめん。俺、結城ｻﾝの事そうゆう風には…」

顔を真っ赤にしながら音にならないような声で話す由奈に、海斗は淡々とした態度で断ろうとした。

「ｯあっ別に、付き合ってほしいとかじゃなくて…気持ちだけ…伝えようと思って……ごめんね…迷惑だったよね？」

「…ごめん。じゃあ、また明日。」

泣きそうな顔の由奈をその場に残し、海斗は足早に立ち去っていった。