愛 -エイエン-
第2章

 片想い 

『陸斗頑張って〜♪』

新しい生活にも慣れてきた頃、体育の授業で女子達の黄色い声が飛び交う。

「本当陸斗ってカッコイイよね♪」

「うん♪」

そんな女子達の会話を横で聞きながら瑛奈は複雑な気持ちでいた。




「瑛奈〜!海斗が今日用事あるから一緒に帰れないってさ!」

「そっかぁ…。じゃぁ、しょうがないから陸斗一緒に帰ろう♪」

授業の終わりのチャイムと共に、体育館を出て行こうとした瑛奈に、陸斗は駆け寄り、声を掛けた。

「しょうがないって何だよ!?俺は人気者だから、瑛奈と帰らなくても一緒に帰る奴位いるから♪…あっどうしても寂しいってなら一緒に帰ってやってもイイよ?」

「…バカ。…やっぱり友達と一緒に帰るからいいや。」

「スネルなよ(笑)」

陸斗の言った冗談に、瑛奈は眉をしかめると、陸斗の言葉を聞かずに体育館を後にした。
< 7 / 56 >

この作品をシェア

pagetop