日陰より愛を
「デートって、付き合ってる男女がするものですよね?」
私の顔はおそらく真っ赤になっていることだろう。
先輩はそんな私を見て、今まで見たことがないほどの甘い笑顔を見せた。
「……そう。だからね、篠崎さん」
「俺の彼女になってください」
「…………えっ」
「ふふっ、タコみたいだ。ねぇ、葵って呼んでいい? 俺のことは亮介って呼んで」
そう言って先輩は身を乗り出して私に触れるだけのキスをした。
途端にもっと赤くなった私に、先輩も頬をほんのり染めて言った。
「好きだよ、葵。俺と付き合って」
「…………はい」