日陰より愛を


それからまた何年かがたち、私は無事に広告代理店への就職を果たした。


そしてりょうはある有名な監督の映画の主役に大抜擢され、瞬く間に有名になっていった。


すると必然的に世間から注目を浴び、マスコミから追いかけ回されるようになる。


(またか……)


一緒に住んでいれば私も目を付けられる。


毎日家の前に1人はカメラを持って潜んでいるようになった。


昔からこういうことに敏感にならざるを得なかった私はまだ見つかってはいなかった。


しかし、それも時間の問題だろう。


りょうが有名になるほど、私の不安は募っていった。


――――芸能界の光も闇も嫌というほど知っている。


だからこそ、分かってしまうのだ。


「そろそろ、かな……」


胸が、痛かった。




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