日陰より愛を


「ちょっと! それどういうことですか!?」


『だーからぁ! ごめんって言ってんじゃん! 人身事故で電車止まったんだって。すぐ動くと思うから、とりあえずお前1人で対応しててくれ』


「そんな……っ!! あっ、ちょっと待って! 切らないで下さいっ!!」


無情にもその電話は切られた。


え……無理無理無理!!


今日はりょうの事務所に先輩とご挨拶に伺う予定だった。


結局、昨日ほとんど眠れなかった私は予定よりかなり早く到着していた。


待ち合わせ場所で先輩を待っていたら、さっきの電話。


もう約束の時間まで10分もない。


とりあえず相手の事務所のビルの前に来た。


どうしよう……。


経験の少ない私が1人で対応できるとは思えない。


その上、りょうを前に冷静でいられるわけがない。


「あの……広告代理店の方でしょうか?」


「は、はいっ!」


「申し訳ないのですが、お部屋をご用意できなくて……。ロビーになってしまいますが、よろしいでしょうか」


「はい、構いません……」


なんか、いろいろ終わった……



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