日陰より愛を


『25歳の葵へ


……お誕生日おめでとう!


もう、立派な大人ね!


高いヒールの靴も、履くようになっていることでしょう。


知らない間に、ずいぶん大きくなってしまったわ。


聞けば、恋人ができたそうね!


……あなたのお父さんは、仕事はできるけど、肝心なときに失敗するのよ。


私のときもそう。


子供はなんとしても守るからーなんて言って、私はどうすんのよって話!


……結局、あなたは無事に産むことができたけど、私もあの人もあなたからは離されてしまった。


それが原因で、喧嘩が増えてね、こっちから振ってやったわ!


……それでも、あなたには会わせてもらえなくて。


精神的にダメになりそうな私を支えてくれたのが、今の夫。


彼がいなかったら、私今頃死んでたわ。


……だからね、葵。


自分を支えてくれる人を、手放しちゃダメよ?


私たちのせいで、背負う荷物が多くなってしまったあなたは、余計に、ね。


……今、隣にいるだろう彼にも同じこと言っておいた。


彼は覚悟できてるわ。


安心して、胸に飛び込んじゃいなさい!!


……近いうち、2人で会いにいらっしゃいな。


あなたに会えるのを、ずっと待ってたんだから!


だから、今回の騒動には感謝してる。


……なんてね。


葵、誕生日おめでとう。


産まれてきてくれてありがとう。


めいっぱい幸せになってね!』









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