日陰より愛を
「そうだったんだ!
久しぶりの休みだね」
そう嬉しそうにへへっと笑うものだから、こっちはすっかりその気になってしまった。
葵の慌てるところが、見たかっただけなんだけど………。
ま、いいのかな。
「じゃあ、いいよね」
俺はそう言って休めていた手を動かし始めた。
「っ……ぁ……!」
油断していた彼女は、自分の出した声に真っ赤になっている。
慌てて自分の手で口を塞いだ。
相変わらず、慣れないなぁ。
そういうところが、可愛いんだけど。
俺は必死になって口を塞いでいる葵の手をどかして、触れるだけのキスをした。
「――――葵」
そっと窺うように顔をのぞく。
俺は、葵がいいと言うまでそういうことはしない。
彼女の悲しい涙は、もう見たくないから。
真っ赤になって俯いている彼女をじっと見つめた。
「………うぅ…。や、優しくしてね…」
「……了解」
ちゅっと額に小さくキスを落としながら囁いた。
もちろん、優しくするさ。
めいっぱい甘やかして、俺から離れられないようにしなくちゃ。
「……葵………」
「ぁっ……りょ、う」
ようやく俺の腕の中に戻ってきてくれた。
我が麗しの恋女房ですから。
【end】