※公開終了間近! イロモノなアタシ
難しいお客
楽しい会話とお酒は進み、ボトルを気前良く何本も入れてくれるプロデューサーに対して、蘭子さんはニコニコと接客をする。


「安ちゃん、ね、次はどんな番組になるのー? 」
「こいつらのコントだけの番組を深夜にやるんだよ、これでブレイク間違いナシっていう連中ばっかりだから楽しみにしててよね」
「へぇー、みんな頑張ってよぉー」
「うーっす」


そんな中、1人だけあたしを見ている人に気づく。


『マージナル』の鳴瀬さん。


イケメン芸人として、女性誌にもよく出ている。


生で見る彼は写真と全く同じで、極力男性に興味を持たないようにしているあたしですら見とれてしまう。


「鳴瀬さん、大丈夫ですかぁー? 具合でも悪い? 」
「ナルっていつもそうだから、こいつ本当は超暗いのにさ、芸人やってんの」
「超暗いってオタクみたいだし、あ、アタシもオタクなの。ジョバンゲリオンとか、成宮ハルトの不機嫌とか好きー」
「ジョバンゲリオンて、誰タイプよ? 」


ヒロセさんはオタク芸人としても有名だ、だからわざと話をこっちに持って行って、鳴瀬さんへの注意を逸らす。


これも水商売の知恵。


「ケンドウさんとかいいかもー、あ、でも女ならメイさんとか」
「えー、ムリムリ! いいトコ初号機でしょー、自分ー」
「ですよねー、キャハハ」
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