※公開終了間近! イロモノなアタシ
「じゃあ、次に来た時、蘭子さんを指名する」
「ありがとうございます」


気に入られたのかな? でもそんな素振りは全く見せない。


きっと自分が美形だから、ブサイクに興味を持ったのかも知れないなと思い、ショーを観つつも空いたグラスに水割りを作り続ける。


「さー、お馬さんに乗っちゃうぞぉぉー」


ステージからはダンサー達が降りて来て、お客さんのヒザの上にまたがり始めた。


あちこちから悲鳴と歓声が上がり、客席はパニック状態になる。


「蘭子カウボーイ! こっちこっちー」


プロデューサーさんが手招きすると、蘭子さんは鳴瀬さんのヒザの上にまたがった。


「ボクー、どうぉー? 」
「あの……」
「この腰使いがいいでしょー、ホレホレ! 」


グリングリンとナニを押し付けて、嫌がらせをする蘭子さん。


「俺もー! 」


彼の顔色が悪くなったのを見て、相方の真島さんが自分のヒザに招く。


「今度はこの子がぁー、なぐごいねがー! 」
「蘭子さん、それナマハゲ」


ショータイムが爆笑のうちに終ると、急に鳴瀬さんが席を立つ。


「そろそろ帰ります、安田プロデューサー。ありがとうございました」
「おう、気を付けてなー」


1人だけ店から姿を消そうとするのを、見送りのために追い掛ける。


「ありがとうございました、また来て下さいね」
「うん、キミに会いに来る」
「はぁ……」


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