※公開終了間近! イロモノなアタシ
電話の着信音。


『もしもし、鳴瀬だけど』
「鳴瀬さん、どうしたの? 」
『今、どこ? 』


周囲を見回すと、2棟の対になった巨大なビルが天に向かって伸びている。


「都庁の近くです」
『今から行く、待ってて』
「でも……」
『中野から近いし、大丈夫。1人で怖かったら、近くにあるファミレスで待ってるといい』


電話が切れ、あたしはファミレスには行かずに1人で『LOVE』というオブジェの前に座り込んだ。


今から彼が来る、明日、仕事じゃなかった?


それなのに来てくれる優しい人。


それから20分もしないうちに、車のエンジン音が響く。


「シホちゃーん! 」


窓からの声に立ち上がったあたしは、彼の車へ向けて走り出す。
< 157 / 386 >

この作品をシェア

pagetop