※公開終了間近! イロモノなアタシ
数分後、鳴瀬さんはあたしの部屋の中に居た。


「どうして来たの? 叫んだの? だって綾女と」
「カン違いだよ、志穂の! 」
「なんで、あの夜2人だけだったでしょ。それに綾女は、バスローブなんて着て」
「あのさ、あれは彼女のコート。君を探しに行くって、その前に下に居るかも知れないって窓を開けたんだ」


言葉を失う、自分の一人相撲だったと知って。


鳴瀬さんは、あたしの体を抱きしめて喉を鳴らした。


「ごめん、何度も店に行きたかったけど、忙しくて」


泣いてる、初めて泣いてる。


着ていたシャツの肩が濡れて、分かった。


「電話しても出ないし、綾女ちゃんも連絡出来なくて、だから……今日、プレゼントを持ってここに来るつもりだったんだ」
「何で一緒に? 」
「サイズとか趣味が分からなくて、綾女ちゃんは知ってるからお願いしただけで」
「ごめんなさいっ! 」


ウェーンとまるで子供みたいな声を上げて、泣いた。


あたしも。
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