※公開終了間近! イロモノなアタシ
お父さんが病院から帰って来たのは、営業時間の直前。


「ただいま、すぐに着替えて行くわ。志穂ちゃん、シャングリラまで送って行って、その後、クミちゃんの病院でつきそってくれる? 」
「了解、お疲れ様」


本当にお疲れ様、ママ業はすごく大変なんだと、改めて思い知らされる。


普通の店であれば、そこまでの面倒は見ないのに。


お父さんは家族同様に従業員の皆を気に掛けて、何かと世話をしている。


だからこそ、長年二丁目で店をやっていられるのだ。


「さ、行きましょう。ねえ、あの子の着替えだけど」
「買ってからね、分かるよそれ位は」
「志穂、気配り出来るってすごく大事なのよ」
「お父さんの子ですから」


お線香をお母さんに1本上げると、店にお父さんを送り届けて、病院に向かう。


もちろん、クミさんの大好きなピンク色のパジャマも忘れずに持って。


病室に入ると点滴を受けながら、眠っている。


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