※公開終了間近! イロモノなアタシ
布団から出た手首に包帯が巻かれているのが見えて、胸がチクっと痛くなった。


同情なんかしちゃいけない、目を覚ましたらこう言うんだ。


「クミさん、おはよう」


って。


それが一番、責めたり同情したりしたらクミさんをまた追い詰めてしまう。


もうそんな事、誰もしないからね。


あたしも、お父さんも、蘭子さんも、ミミちゃんだって。


ベッドの脇にある椅子に座り、携帯を片手にハギモトの情報を調べていると、ゴソっと物音がした。


目を覚ましたらしい。


「クミさん、おはよう」
「おはよう、シホちゃん。ママは? 」
「お店だから、あたしが代わりに。まだ寝ててもいいよ」
「ううん、いいの。居てくれてよかった、ありがとう」


夕べからぐっすり眠れたらしく、顔色が少し良くなっている。
< 248 / 386 >

この作品をシェア

pagetop