※公開終了間近! イロモノなアタシ
忘れてない、でも、忘れようとする気持ちが出て来てる。


そうだよね、いつだって前向いて歩いてないとね女は。


「リスカなんてバカなまねは、もうしません」
「お願いします、先輩」
「うふふ、入店1ヵ月先だもんね」


3年前、初めてクミさんがこの店に現れた時は、もう今の彼女だった。


でも、昔から他の店子として付き合いがあったお父さんは彼女の変貌を知っている。


『お店からバンス(借金)までしてね、手術してたの。それはもうすごい変わりぶりだったわ』


と。


あたしが知っているクミさんは、キレイで誰からも愛される人。


昔なんかどうだっていいよ、一緒に前向いて歩こうね。


そのままあたしは病院に泊まりこみ、クミさんの横に補助ベッドを並べて眠った。


性別で言うと元男と女。


ちょっと複雑だけど、でも、彼女と一緒なら平気だし。
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