※公開終了間近! イロモノなアタシ
考え事を続けていたあたしの顔が、つまらなさそうに見えたのか、となりに座ったオバさんが話しかけて来た。


「なっ、あられ昆布食べる? 」


ニコニコ笑いながら、お菓子の袋を差し出して来た。


「すみません……」
「アンタ、芸人さん? どっかで見た気するし」
「違います、まあ、似たようなモンですけど」


おばさん、多分あのテレビ見てたな。


オカマのシホを。


「なーんやー、ほしたら何でつまらん顔するのん? 皆わろてるよー」
「明日、就職の面接があって」
「へぇー大変やね、な、そしたらゲンかつぎにお参り行きなはれ、大阪天満宮へ」
「大阪天満宮? 」


おばさんは、電車での行き方を親切に教えてくれただけではなく、ご利益も教えてくれた。


「合格祈願にはもって来いやし、天神様は。他にも芸事の祈願に行く人も多いんよ」
「ありがとうございます、おばさん」


あたしの合格以外に芸事の祈願もしなくちゃ、敬介のために。
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