※公開終了間近! イロモノなアタシ
「待ってー」


追いかけようとする綾女の手をつかんで、あたしは周りの目もはばからずに叫んだ。


「綾女! ダメ! 付いて行っちゃ! 」
「なんで……なんで志穂ちゃん邪魔するのー」


泣き出した彼女を抱きしめて、一緒に泣いてしまう。


ごめん、あの時、綾女が全てをちゃんと聞き終わるまでレイ君が待っててくれたらあたしは、見逃してた。


でも、途中で逃げ出したんだよ。


自分の犯した罪を、受け入れられないまま。


そんな人に、綾女を安心して渡せない。


永遠の愛を誓った、昔の綾女を救ってくれた人間だとしても。


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