※公開終了間近！　イロモノなアタシ
「ううん、知らないよ。綾女の事だから、すぐに帰って来るんじゃない？　」
『そぉ、なら一度電話入れて頂戴よ、仕事モードだからこんな声で電話も出来ないし』
「はーい」


携帯を切ると、急いで綾女パパに電話を入れた。


「大沢ですが、さきほどお電話をいただいたようで」
『志穂ちゃん、久しぶりだね。何度も連絡を入れて申し訳ない、さっき綾女は帰って来たよ』


帰ったんだ、家に。


パパの声は安心しているように聞える。


『誰にも言わずに、宝塚に行くんだから困ったものだよ』
「そうでしたか、それは良かったです。では」
『また今度、家に遊びにおいで』
「はい、ありがとうございます」


安心すると同時に、複雑な気持ちになった。


何で家に帰ったのか、あの時行けば良かったのに。


東京駅であたしと別れた時に……。


クミさんとの件は、新幹線の中でも話さなかったけれど、綾女なりに何かを感じたのだろうか。


不意にまた携帯が鳴る。


メールだ。
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