※公開終了間近! イロモノなアタシ
「志穂」


小声でそう呼びかけて、中に入って来る。


「ごめんね、急に呼び出して」
「いいって、それよりおめでとう」


サングラスと帽子を外した顔を見て、なんだか泣きそうになった。


目の下に大きなクマが出来ていたから。


仕事中はドーランで隠せても、やっぱり疲れているんだなと感じる。


そんな彼に、あの話をしてもいいのだろうか。


「どうしたの? 変な顔して」
「それはもともとだよ」
「志穂、ギャグはいいよ。それより、会えて嬉しい」


ギュッと抱きついて来た体は、前よりも少しやせている気がした。


ダメだ、こんなに追い詰められている人に……。


「敬介、会いたかった」


笑顔を作ろうとしたけれど、それが泣き顔になってしまった。


「ごめん、会えなくて。ずっと」


違うよ、色々あって、でも言えないんだ。
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